健康管理の基礎ガイド
成人病は働き盛りのあなたを狙っています
成人病を防ぐには、生活習慣を見直すことが大切!!
成人病の予防と対策
●●食事はバランス良く腹八分を目安に●●
食べ過ぎと肥満は、ほとんどの成人病の源になっています。特に脂肪の摂り過ぎは、大腸がんや乳がんの原因になり、また動脈硬化を引き起こして心臓病へとつながります。
脂肪分というと動物性の食品に含まれるコレステロールを思い浮かべますが、これは摂り過ぎると動脈硬化を引き起こす一方で、実は体にとってなくてはならないものでもあります。多すぎても、少なすぎても体には良くありません。普段の食事では、肉だけに偏るのではなく、魚と半々にするなどバランス良く取ることが大切です。また、野菜類も毎日できるだけ食べるようにしましょう。ビタミンやミネラルは体の抵抗力を高めますし、植物繊維には発ガン物質の働きを抑える作用もあります。
●●食塩は少なめに●●
和食は、動物性脂肪が少ない点が見直されている反面、物によっては食塩の多さが気になるというデメリットもあります。佃煮や漬物などの保存食品は、その代表選手といえるでしょう。日本が、世界でも有数な高血圧患者の多い国であるのは、実は食塩の摂り過ぎが最大の原因となっているのです。外食は特に味付けが濃く塩分が多めになっているので、できるだけ家庭で手作りの食事を摂る様にしたいものです。
●●お酒はほどほどに●●
アルコールが肝臓で処理されることは良く知られていますが、一度に処理できる量には限度があります。毎日大量に飲み続けると、特に肝臓に負担がかかり、いずれは重い病気になってしまうのです。お酒は、飲み方を間違えなければ、それほど悪い飲物ではありません。ほどよいリラクゼーションや食欲増進にも効果があります。晩酌の習慣のある人は、週2日はノンアルコールデーをつくり、一度に飲む量は、日本酒なら2合、ビールなら大瓶2本までにしておきましょう。
●●ぜひ禁煙を●●
お酒は飲み方しだいで百薬の長にもなりますが、タバコはまさに百害あって一利なしです。1本吸うと寿命が12分縮むともいわれています。
たばこには様々な毒性がありますが、最も問題なのはニコチン、タール、一酸化炭素の3つです。ニコチンと一酸化炭素は血管と血液に障害を起こすとともに、心臓に負担をかけます。またタールには発ガン性物質が多く含まれています。その上、タバコは本人だけでなく周りの人も煙を吸うことになるので、同時に健康破壊に巻き込んでしまいます。
●●ストレスをためない●●
呼吸をしたり、食べ物を消化吸収するなどの体の活動は、自律神経によってコントロールされています。しかし、自律神経はストレスの影響を受けやすいため、不安や興奮などのストレスがあると、自律神経に支配されている臓器や器官に障害が起こってきます。最も敏感に反応するのは血圧と胃腸です。まず血圧は、ストレスを受けると心臓の拍動を強めて血圧を上げ、ストレスに対応しようとします。ストレスが強いほど血圧は高くなり、その状態が続くと高血圧や動脈硬化にとなって現れます。胃腸もストレスによる自律神経の乱れを敏感にキャッチし、その状態が続けば、胃・十二指腸潰瘍となって臓器に穴があいてしまいます。
●●適度に運動する●●
私たちの体は、もともと動くことと食べること、休むことの3つの要素がバランス良く調和し、互いに運動し合うことで維持されています。しかし現代の生活では、家庭でもオフィスでも自動化が進み、車の普及なども手伝って、日常の運動量が極端に減少しており、それによるトラブルが成人病にも影響しています。運動不足による肥満がきっかけになって発症する成人病は非常に多いのです。動脈硬化や糖尿病、また脂肪肝や高脂血症などは、その代表です。特別な運動でなくても、歩くだけでもいいのです。とにかく、普段から日常生活のなかで、できるだけ体を動かす習慣をつけるのが大切です。
●●規則的な生活を送る●●
私たちは長い間の習慣で、目が覚める時間やおなかがすく時間などが、自然に体にインプットされています。体はそのリズムに沿った生活を続けていないと、体調が悪くなる仕組みになっているのです。たとえば夜になって眠る時間に眠らないでいるとホルモンの分泌に偏重が起こり、日中の活動する時間帯にも頭がぼんやりしたままになってしまいますし、食事の時間が大幅にずれたり朝食を抜いてしまったりすると、エネルギーが生まれないばかりか胃腸に負担がかかってしまいます。普段から、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。

消化器の病気
◇胃・十二指腸潰瘍 ◇ポリープ(大腸ポリープ) ◇ウイルス性肝炎 ◇脂肪肝 ◇アルコール性肝障害 ◇胆石症 ◇膵炎
胃・十二指腸潰瘍・・・まじめで仕事熱心な人に多い
空腹時にお腹かシクシク痛み、食べると和らぐ。
胃がもたれたり、胸焼けがするようになった。
胃液がこみあげてくることが多い。
黒っぽい便が続いている。
ストレスがあると、みぞおちが痛む。
時々背中が痛むことがある。
このところ暴飲・暴食が続いている。
ストレスによって胃腸の壁が侵されます
胃や十二指腸では、塩酸やペプシンなどが含まれる胃液の働きによって食べ物が消化されています。しかし、胃や十二指腸の成分も主にたんぱく質ですが、これらは胃液によって消化されるわけではありません。胃や十二指腸の壁から粘液が分泌され、ガードされているからです。ところが、何かの拍子に胃や十二指腸の壁を守る粘液の分泌が減って胃液とのバランスが崩れると、胃液は胃や十二指腸を消化し始めてしまいます。このような事態を引き起こす最大の要因は、何といっても精神的なストレスです。胃・十二指腸潰瘍は、消化器系の他の病気とは違って、心の病気といえるでしょう。いったんできた潰瘍が治癒するには2〜3ヶ月かかり、ストレスの多い生活が続く限り何度も再発します。なお、感冒薬(消炎鎮痛解熱剤)が影響して潰瘍ができる場合もあります。服用するときは、きちんと指示を守るのが大切です。
予防と対策 ストレスをためないで規則正しい生活を
ストレスとうまく付き合うこと規則正しい生活を送ること。ストレスを過剰にためないよう趣味やスポーツなどで解消する工夫をして下さい。
胃の痛みが数日以上も続いたり、これまでにない不快感がある場合は、専門医に診てもらいましょう。特に血を吐いたり、黒っぽい便が続いている場合は要注意です。
潰瘍ができていても、無症状の場合もあります。いずれにせよ、年に1〜2回は、必ずX線検査または内視鏡検査を受けるようにしましょう。
最近の研究で、胃の中にヘリコバクター・ピロリという細菌がいると、潰瘍が治りにくかったり、再発しやすいことが分かって来ました。このような人は一度、ヘリコバクター・ピロリ菌の有無を調べ、陽性の場合は除菌療法を試みるのもひとつの方法です。
ポリープ(大腸ポリープ)・・・高脂肪の食習慣を続けてきた人に多い
便に血が混じっていることがある
最近、急に便秘気味になってきた。
便が細くなってきたように思う。
時々下腹部が痛むことがある。
便に透明な粘液が混じることがある。
脂肪分の多い肉が好きで、よく食べる。
野菜や豆などは、あまり食べない方である。
大腸に発ガン率の高いイボができます
大腸ポリープとは、大腸の粘膜がイボのように隆起している病変の総称で、さまざまな病気が含まれています。
がんの発生する率の高い腫瘍性と、そうでない非腫瘍性の2タイプに分けられますが、約90%は腫瘍性ポリープだといわれています。つまり、大部分の大腸ポリープは大腸癌に移行する可能性が非常に高いというわけです。
予防と対策 食生活に注意し、便秘を防ぐのが大切
働き盛りの人は、これまでの食生活を見直し、予防の為に正しい食生活を身につけるとともに、便秘のない規則正しい生活を送るようにしましょう。
食生活は肉の量を減らし1日1回以下に抑えます。
動物性タンパク質はなるべく脂肪の少ない魚からとるようにし、栄養バランスを心がけましょう。
排便の量を多くするために植物繊維を多く摂る事が大切です。植物繊維は野菜や豆類に多く含まれていますが排便の量を増やすには、野菜とともに主食となる米やそば、うどん、パンなどをしっかり食べましょう。
便秘を防ぐには、毎朝排便の習慣をつけ軽い運動をして、バランスの取れた食事を規則正しく摂る事が大切です。それでも便秘が治らない人は、なるべく市販薬に頼らないで医師に相談しましょう。
ポリープからの出血は、痔による出血と間違えることがありますが、見つけたら早めに診察してもらいましょう。
ポリープの多くは、内視鏡を使えば簡単に切除することができます。
癌に変化しやすいポリープは、40歳以降になると発生しやすくなります。自覚症状がなくても、40歳を過ぎたら年1回は大腸検査をして早期発見に努めることが大切です。
ウイルス性肝炎・・・日本人に多いC型肝炎
体がだるく、何もする気力がなくなることがある。
最近、とても疲れやすくなった。
このところ、食欲がないことが多い。
時々むかついたり、吐くことがある。
尿の色が濃くなってきた。
手のひらや足の裏、白目が黄色っぽくなってきた。
右上腹部に、時々圧迫感や痛みがある。
手術などで輸血を受けたことがある。
慢性に移行しやすいので注意が必要です
日本ではアルコール性肝炎は意外にも少なく、80%がウイルス性の肝炎です。
現在、A型からG型まで7種類の肝炎ウイルスが確認されていますが、このうちA型とE型を経口感染といい、食べ物や飲物を介して感染し、急性肝炎を起こします。これらは慢性に移行する心配はありません。
B型、C型、D型、F型、G型は血中のウイルスが手術や輸血、手の傷など血液を介して感染するものでB型、C型は急性から慢性に移行するケースが少なくないのです。わが国では一般にA・B・C型肝炎がよくみられます。
肝炎で特に問題になるのはB型とC型肝炎で肝硬変や肝臓癌になった人のうちB型の人が2割、C型の人が6〜7割を占めています。
予防と対策 過去に輸血を受けた人は抗体検査を
B型、C型ともに医療現場での感染が多く、過去に手術を受けたり輸血したことのある人は是非検査をおすすめ!
C型肝炎の感染経路は血液ですが非常に感染力が弱いので、母子感染や性行為感染の心配はほとんどありません。
症状が進まないようにするには、過労を避け、良質のタンパク質を摂って栄養状態を良好に保つのが大切です。
脂肪肝・・・肥満体の人アルコール好きの人は要注意!
どちらかといえば太り気味。
つい食べ過ぎてしまうことが多い。
お酒好きで、飲む量も多い。
お酒を飲むとき、食べないことが多い。
お菓子や甘い果物が大好き。
運動不足かなと思っている。
健康診断で高脂肪血症といわれたことがある。
過剰な脂肪が肝臓にたまります
年間、成人病の集団検診などで、約10%の人に肝機能以上が発見されます。そのうち大部分が脂肪肝かアルコール性肝障害です。かつては栄養不足から発病することが多かったのですが、現代では肥満やアルコールの過剰摂取によって引き起こされることが多くなっています。
脂肪肝はウイルス性肝炎に比べ軽視されがちですが、放っておくと肝硬変になることもあります。
これといった自覚症状がないために,定期検診で指摘されることが多いので、高脂血症の人、肥満気味の人、過食の人は積極的に検査を受けるようにして下さい。
予防と対策 肥満を解消し、アルコールの節制を!
肥満が原因で脂肪肝になった人は減量するだけでまたアルコールが原因の人は禁酒するだけで、かなり改善されることが多いのです。
肝機能の働きを示す血液検査のうち、肥満が原因で脂肪肝になった人はGOTやGPT及びコリンエステラーゼの値が高くなる傾向にあります。一方、アルコールが原因の人はγーGTPが高くなるのが特徴で、検査をすればすぐに分かります。アルコールによる脂肪肝治療の難しさは、一時期禁酒できても少し良くなるとまた飲んでしまいます。治ったからといって元のペースに戻さず、週2日は飲まない日を作り自分なりの工夫でアルコールから遠ざかることが大切。
脂肪肝になると前身の脂肪代謝も乱れいろいろな成人病を引き起こす準備状態になります。定期的に肝機能検査を受け進行しないようにチェックする。
アルコール性肝障害・・・飲み方しだいで良くも悪くもなる
最近、とても疲れやすくなった。
体が熱っぽい感じがする。
時々、むかついたり吐いたりする。
前ほどアルコールが飲めないことがある。
白目が黄色っぽくなってきた。
飲酒の習慣が長く続いている。
1日に日本酒で3合以上飲むことが多い。
お酒を飲むとほとんど食事をとらない。
肝臓はまず、アルコールの分解に専念します
アルコールは胃や小腸で吸収され、肝臓に運ばれて分解されます。分解過程で酵素の働きにより、アセトアルデヒドから酢酸になり、最後には炭酸ガスと水になりますが、ここに至るまでのアルコールの処理はほとんど肝臓で行なわれます。肝臓の処理能力を超えるアルコールを一定期間飲み続けると、肝臓障害が進み、初期には脂肪肝の症状になります。この段階で飲酒をやめれば時間はかかりますが健康な状態に戻ります。しかし飲み続けると肝臓の組織が破壊され次の段階であるアルコール性肝炎にになります。これを放っておくと破壊が進み、肝硬変になることもあります。
予防と対策 少量のお酒を、食べながらゆっくり楽しむ
アルコール性肝炎ではγ‐GTPの値が初期のうちからはね上がり、肝炎の発見は容易にできます。また、GOTとGPTの値も変化します。アルコール性肝炎であれば、GOT値の方が高くなるのです。
肝臓がアルコールを処理する能力は決まっています。体重によって違いがありますが、60kgの人の場合は1日の処理能力は日本酒で約7合といわれています。しかし、7合飲んだのでは24時間アルコールの処理に専念しなければならず、肝臓の負担は大き過ぎます。半日は肝臓を休ませ、また飲むときはタンパク質不足にならないよう、食べながらゆっくりしたペースで飲みたいものです。
胆石症・・・脂肪摂取の多い人には御用心
みぞおちから右側にかけて痛むことがある。
お酒の後や食後に痛むことが多い。
結構グルメで脂っこい料理が好き。
甘い物が大好き。
アルコールを飲む機会が多いほう。
どちらかというと肥満気味。
糖尿病、または高脂血症といわれたことがある。
8割はコレステロールが結晶化したもの
体の中に石ができるというのも不思議ですが、胆汁の中の成分が変化して石ができるのです。胆汁は肝臓でつくられ、胆管を通って十二指腸へ流れていく液で脂肪の消化には欠かせません。このため、脂っこい食品をとると胆汁も多く分泌されます。何らかの理由で胆汁成分のバランスが崩れると胆汁の中に含まれるコレステロールが結晶化して固まりとなってしまうのです。これを結石といい、日本人の胆石症のうち80%以上がこのタイプです。
症状@突然みぞおちから右上腹部にさしこむような痛みが始まり、七転八倒の苦しみに襲われる。
    A激痛はないものの常時腹部が重苦しく、ジクジクした痛みが持続する。
    B普段はなんともないが、アルコールを飲んだり脂っこい食事をとった後に痛みが出る。
石のできる位置によって、胆襄結石、肝内結石、胆管結石の3つに分けられ、痛みの度合いは石の位置によって違ってきます。
予防と対策 40代の太った女性は要注意
胆石は脂肪分をたくさんとる人に多く見られる病気で、女性に多く、男性の約2倍といわれております。
胆石の予防は、脂肪分を控えることが一番です。バターやしもふり肉、卵など、コレステロールを多く含んだものをとり過ぎないように、糖分も体内では中性脂肪に変化するため、アルコール共控えましょう。
胆石と診断されたらの治療法・・・疝痛(さしこむような激しい痛み)、発熱、黄疸がある場合は手術が必要です。
薬で石を溶かす方法/内視鏡で石を取り除く方法/からだの外部から衝撃波を当てて石を砕く方法
膵炎・・・中年の大酒家に多い
みぞおちや左背部がキリキリ痛むことがある。
時々、吐き気や嘔吐がある。
みぞおちのあたりが張った感じがする。
最近、不消化便が出るようになった。
このところ体重が減ってきた。
アルコールが好きで、毎日かなり飲む。
こってりした脂っこい食べ物が好きな方。
つい暴飲・暴食をしがちである。
膵臓の消化酵素が逆流して激痛が起こります
膵臓は、食物の消化を助けるために、消化酵素を含んだ膵液を十二指腸に分泌しています。アルコール性の膵炎は、大量にアルコールを飲む習慣のある人が、いつもより深酒を何日か続けると、それが引き金となって膵臓の消化酵素が逆流し、突然自らの膵臓を消化してしまう症状です。
予防と対策 アルコールはほどほどに
膵炎は病状が軽ければ腹部の痛みだけ。重症になると激痛のためショック状態に陥り、生命の危険にも及びます。
初期の段階できちんと治療すれば2〜3週間で治りますが、慢性膵炎に移行すると治療にも時間がかかります。
予防として、アルコールの量を減らすこと。脂っこいものをなるべく控えること、過労を避けること。
進行した慢性膵炎になると、膵臓の分泌液が減少して、消化不良を起こしたり、糖尿病を引き起こします。糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの不足で起こる病気です。

心臓・血管・脳の病気
◇高血圧 ◇動脈硬化 ◇狭心症 ◇心筋梗塞 ◇脳卒中 ◇くも膜下出血 ◇眼底出血
高血圧・・・多くの成人病の引き金になる
よく頭痛、肩こりがする。
息切れしたり、動悸がする事がある。
普通より濃い味の食事が好き。
アルコール摂取量は多い方。
たばこを吸っており、本数は多め。
平均よりは太リ気味。
運動不足かなと思っている。
性格的に興奮しやすいタイプ。
家計に高血圧の人が何人かいる。
最小血圧95以上は高血圧です
血圧とは、心臓から全身に血液を送り出すときに生じる動脈内の圧力のことです。心臓は絶え間なく収縮・拡張を繰り返し、ポンプの圧力によって全身に血液を送っています。この圧力が正常より高くなると、さまざまな問題が生じてくるのです。
血圧には「収縮期血圧」と「拡張期血圧」があります。いわゆる最大血圧と最小血圧ですが、前者は心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧で、後者は心臓が拡張して心臓自身に血液が流れ込むときの血圧をいいます。
WHO(世界保健期間)では90〜140mm/Hgを正常血圧とし、最小血圧95以上、最大血圧16以上を高血圧と定めています。
高血圧の状態が続くと、血流の高い圧力を受け続けている血管にも、より強い収縮を繰り返す心臓にも、ともに負担がかかってさまざまな合併症を引き起こします。
予防と対策 塩分を控え、定期的に血圧測定を
血圧が高い状態が続くと血管壁がダメージを受け血液の供給を受けている脳・心臓・腎臓などの重要な臓器が障害される危険性が高くなる。
動脈硬化の進行も早くなり、血管壁にコレステロールなどさまざまなものが付着して血液の通り道が狭くなるため、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなる。
家系に高血圧の人が多い人、濃い味に慣れている人、太り気味の人は高血圧予備軍です。
アルコールや脂っこい食品は控え、塩分の摂り過ぎには注意。ストレス、たばこも影響があります。
なお若年者の高血圧には腎臓疾患やホルモン異常などが関与している事が多いので専門医の受診が必要になります。
動脈硬化・・・合併症が怖い
夜中や明け方に、胸苦しくて目覚めることがある。
最近の出来事をよく忘れることが多くなった。
お酒が好きで、よく飲む方。
脂っこい、こってりした食べ物が好き。
長年、たばこを吸っている。
どちらかというと太り気味。
血圧は高い方である。
糖尿病の傾向がある。
健康診断で高脂血症といわれた。
動脈が硬くなったり狭くなっています
動脈硬化は、動脈が硬くもろくなったり、内径が狭くなったりして、血液がスムーズに流れない状態です。
動脈は、心臓から送り出される酸素や栄養素を含んだ血液を、全身の臓器や組織に運ぶ血管です。長い年月のうちに血管は老化し、動脈の内壁にコレステロールや中性脂肪などが堆積して内径が狭くなり、弾力も失われてきます。
心臓の冠状動脈に動脈硬化が起こると狭心症や心筋梗塞が起こりますし、能生の血管に起こると脳梗塞や脳出血に見舞われます。また腎臓に起これば腎不全や尿毒症になるなど、命にかかわる怖い病気を引き起こす危険性が高いのです。
予防と対策 生活を改善し、血管を柔軟に保つのが大切
動脈硬化の進行を早める危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満、運動不足、ストレスです。
動脈を丈夫にするため、タンパク質は十分に摂り脂肪や糖分、アルコールは控えめにしましょう。また食物繊維は、動脈硬化を進行させるLDLコレステロールの吸収を抑えるので積極にとりたいものです。
運動は臓器の働きを強化し血管を新生する刺激になります。たばこは血管壁を傷めたりします。禁煙が無理なら節煙を。
狭心症・・・働き盛りの中高年に多い
坂道や階段の上り下りがつらくなった
胸の中央から左にかけて痛むことがある。
ひどく肩こりがしてしょうがない。
塩分の多い、味の濃い食事が好き。
ストレスが多い方だと思う。
たばこを1日20本以上、吸っている。
運動不足だろうと思う。
血圧は高い方である。
コレステロール値が高いといわれたことがある。
心臓の筋肉が酸素不足で苦しんでいます
狭心症は胸の痛みを伴う発作が起こりますが、坂道や階段を上るときなど発作が起こる労作性狭心症と、安静状態でも起こる安静時狭心症とがあります。病状が進み、労作性狭心症が再発したり、発作時の痛みが長引き、発作の程度が悪化したものは不安定狭心症といい、もう1段階進んだ状態です。これは心筋梗塞に移行する危険性が高く、厳重な管理が必要となります。
予防と対策 高血圧や動脈硬化にならないよう注意を
狭心症の発作はある日突然やってきます。
動物性脂肪のとりすぎ、塩分過多による高血圧、そこから派生する動脈硬化、運動不足などが主な原因です。
症状はまず胸部に締めつけられるような痛みが起こります。痛みは胸部中央だけでなくあごや腕、肩などにも現れます。歯が痛くて歯の検査で異常なしといわれたら狭心症を疑ってみてください。狭心症の痛みはだいたい5〜6分程度、長くても10分以内です。
なお、安静時狭心症は冠動脈の”けいれん”によって起こります。けいれんの原因となる不規則な生活やストレスを避けるようにして下さい。
心筋梗塞・・・40代にも増えている
胸が締め付けられるように痛むことがある。
長年、たばこを吸っている。
平均よりは太り気味の体型。
ストレスがたまりやすいタイプ。
運動不足だと思っている。
高血圧が続いている。
コレステロール値が高い方である。
糖尿病の傾向がある。
家系に心臓病になった人が何人かいる。
心臓の筋肉の一部が死んでいます
心筋梗塞は、心臓を動かしている筋肉の一部に血液が行き渡らなくなり、酸素不足に陥って筋細胞の一部が死んでしまうものです。心臓の冠状動脈は3本あり、そのうちのどこかが完全に詰まると発作が起こります。激しい胸痛の発作で、処置を誤るとそのまま死に至ることもある恐ろしい病気です。
心筋梗塞は血管の狭窄(狭くなっている部分)が複雑で数も多く動脈の一部が完全に詰まるもので深刻です。
予防と対策 動脈硬化を防ぐことが第一
心筋梗塞の60%は不安定狭心症などの前兆がありますが、40%はなんの前触れもなく突然発作が起こります。激しい胸痛が30分以上続き、息苦しく、顔面蒼白となり、冷や汗が出ますから救急車で一刻も早く病院に行かなければなりません。
統計によれば、心筋梗塞でなくなる人の半数は発症から2時間以内に集中しています。しかし、迅速、適切な治療を受ければ助かるケースが多く、心筋梗塞の治療は時間の勝負といえます。
心筋梗塞の最大の原因は動脈硬化です。冠状動脈硬化を起こす3大危険因子は高血圧、高コレステロール血症、喫煙で、このうち2つ以上重なると危険率は増大します。
動物性脂肪、高コレステロール食品、過食は控えます。たばこは血液に酸素を運ぶ能率を低下させ、血管を収縮させるので禁煙したいものです。
脳卒中・・・いくつかの前ぶれが現れる
手に持っているものを突然落としたことがある。
最近、めまいがするようになった。
時々手足がしびれることがある。
話すとき、舌がもつれやすい。
味の濃い、塩辛い物が好き。
お酒を飲む機会が結構多い。
高血圧の状態が続いている。
心臓病、糖尿病の傾向があるといわれている。
脳の血流が途絶え、その先の機能がマヒします
脳卒中はかつて日本人の死因のトップを占めていましたが、食事の改善と血圧コントロールが広く行なわれるようになり、減少しつつあります。しかし、今でも死因の2位であり、大きな発作が起これば死の危険性が高いだけでなく、1名をとりとめても半身不随や知的障害などの後遺症が残る怖い病気です。
脳の中には血管が縦横に走り、脳細胞のすみずみまで酸素や栄養を送り込んでいます。ある血管に異常が起こり、血液の流れがストップすると、その先の脳の機能はマヒします。これが脳卒中で血管が詰まる場合と破れる場合があります。脳の血管が詰まることを脳梗塞といい、その代表が脳血栓。これは脳の細い血管に血液のかたまりができて血管が詰まるものです。また、血管の内部にさまざまなものが付着し、血管が弾力性を失って血液の通りが悪くなると、血管が破れて出血し、発作を起こすことがあります。これが脳出血です。
予防と対策 前ぶれ発作を見逃さないように
脳卒中は、さまざまな要因が複雑にからみあって発症する病気です。危険因子はいろいろ、ありますがこれらを一つ一つ取り除いていくことが予防につながります。最大の要因は動脈硬化で、これを促進するのが高血圧です。脳卒中を予防するためにも、血圧のコントロールは必要です。発作の引き金には季節や気候などの環境因子も関係します。冬のトイレや浴室など、急激な温度変化にも注意が必要です。
脳卒中の発作は突然起こると思われがちですが、大きな発作が起こる1年ほど前から、小さな前触れ発作が何度かあるのが普通です。一時的にめまいがする、手足がしびれる、手に持っているものを突然落とす、ボタンがはめられない、ろれつが回らなくなる、目の焦点が合わなくなり物が二重に見える、軽い頭痛がする、瞬間的に記憶がなくなるなどです。重要なサインですから気がついたらすぐに脳外科または神経内科で検査を受けましょう。
早期発見は早期治療につながります。
くも膜下出血・・・激しい頭痛が起こったら
バットで殴られたような激しい頭痛がする。
そのとき吐き気や嘔吐がする。
その後、うなじのあたりが硬くなる。
血圧の高い状態が続いている。
家系にこの病気にかかった人がいる。
●脳の動脈にできたこぶが破れて出血します
くも膜下出血は、1回の発作で命を落とすこともある怖いものです。後頭部に非常に激しい痛みが起こるのが特徴ですぐにおさまるものもありますが、決して治ったわけではありません。すぐ脳外科に行き、検査を受ける必要があります。
脳は表面から軟膜、くも膜、硬膜という3つの膜で覆われており、くも膜下出血の多くは脳の動脈のできた動脈瘤が突然破裂するものですが、出血した血液がくも膜下腔に流れ込んで激しい頭痛が起こります。出血の量が多ければ多いほど症状は重く、場合によっては昏睡状態に陥り、そのまま死亡することもあります。この病気は40〜50代の働き盛りに多く前触れはありません。
予防と対策 高血圧にならないようコントロールを
くも膜下出血は前もって生活習慣などで予防できるものではありません。激しい頭痛に吐き気、嘔吐などが伴うことがあったら、すぐに病院に行くようにしましょう。
検査はX線CT、くも膜下腔から脊髄に流れている髄液の検査、脳血管撮影が行なわれます。くも膜下出血は、最初の出血量が少なくて痛みが収まっても再発することが多く、再発で命を落とすケースが少なくありません。再出血は最初の出血の後の24時間以内に起こることが多いので、早急に手術をする必要があります。激しい頭痛を我慢して放置しておくと再出血の危険性ばかりではなく合併症が起こります。第一に水頭症。これは出血した血液が固まり脳脊髄液が流れる通路をふさぎ脳を圧迫して起こります。これによって昏睡状態に陥ったり、痴呆、歩行困難などの症状が現れます。また出血後、数日から2週間ほどの間に脳の血管が細かく縮んでしまう”血管れん縮”という状態になります。これはれん縮した部位から先に血液が送られなくなるため脳の細胞が死んでしまい、脳梗塞と同様の症状が現れるものです。その結果、意識障害、失語症、手足のマヒなどを起こします。
眼底出血・・・糖尿病や高血圧と関係が深い
ものが歪んで見えたり、ぼやけて見えることがある。
視野の一部が暗くなってきたように感じられる。
目の前に虫のようなものがチラチラ見えることがある。
最近、急に視力が落ちてきた。
高血圧が長く続いている。
糖尿病の治療を受けている。
腎臓病の治療を受けている。
●糖尿病になって10年以上の人は要注意
眼底出血は成人病と深い関係があります。眼底とは目の奥の網膜や脈絡膜のある部分をいいますが、ここにはたくさんの動脈や静脈が放射状に走っています。この部分の血管に出血が起こった状態が眼底出血です。
出血していても、網膜の中心部から離れていたり、出血が少量の場合は自覚症状はありません。出血量が増え、中心部まで出血や腫れが及ぶと視力が低下します。さらに悪化すると大量出血し網膜剥離を起こして、失明する危険性もあります。糖尿病が原因で起こる糖尿病性網膜症と、高血圧が原因の網膜静脈閉塞症が眼底出血を起こす2大疾患といわれています。
予防と対策 糖尿病と高血圧を悪化させないこと
糖尿病性網膜症で眼底出血を起こした場合、初期には止血剤や血管を強化する薬、出血した血液の吸収を良くする薬、血液が固まるのを防ぐ抗血小板剤などの内服で改善を図りますが、病状が進むとレーザーを使って病巣を焼く、光凝固療法を行ないます。高血圧による網膜静脈閉塞症は50代から70代の高齢者多いのが特徴です。高血圧が長く続くと動脈硬化を起こし、その結果動脈と網の目のように交差している静脈が硬くなった動脈に圧迫されてつまり、出血を起こすようになります。

代謝異常の病気
◇糖尿病 ◇痛風(高尿酸血症) ◇高脂血症
糖尿病・・・生活習慣から生じる病気
最近、のどが渇いてしょうがない。
水分の摂取量が多くなった。
トイレの回数が増え、尿量も増えている。
体がだるく、とても疲れやすい。
甘い物がやたらに食べたくなった。
脂っこい物が好きで、よく食べる。
どちらかというと太り気味。
運動不足かなと思っている。
ストレスがたまりやすい方である。
家系に糖尿病の人がいる。
●血液中に、ぶどう糖があふれる病気です
私達は、血液に含まれるぶどう糖をエネルギー源として生命を維持し活動しています。ぶどう糖がエネルギーとして利用されるためには、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの助けが必要でですが、糖尿病は、このインスリンの分泌が足りなかったり、その作用が弱かったりして、慢性的にインスリン不足の状態が続く病気です。その結果、ぶどう糖が血液中に多く残ってしまい高血糖状態になるのです。
血液中に溢れているぶどう糖が体のいろいろな組織に沈着したり、血管壁に悪影響を及ぼすので問題が生じるのです。進行すると徐々に全身の血管や神経を侵していき、各種合併症を引き起こして、失明したり、腎不全や心臓病など命に関わる病気を誘発します。
予防と対策 肥満を防ぎ、運動をして、ストレス解消を
発症因子で一番問題になるのが肥満です。肥満は、一つ一つの脂肪細胞が大きくなるか、数が増えた状態ですが、大きくなった脂肪細胞はインスリンに対して感受性が鈍くなるため、膵臓はたくさんのインスリンを分泌する必要に迫られ、それに対応しきれなくなって糖尿病が発症するわけです。糖尿病と診断されたら治療をしなければなりませんが、管理さえうまく出来れば病気の進行を抑え、合併症を防ぐことができ健康な人と変わらない生活を送ることが可能です。
肥満者は糖尿病の予備軍ですから減量を心がけ、定期的に尿検査と血糖検査を受けるようにしましょう。
痛風(高尿酸血症)・・・グルメの方は御用心
足の親指の付け根に激痛が走ることがある。
こってりした脂肪分の多い料理が好き。
お酒が好きで、よく大酒を飲む。
スポーツの後にビールを飲むことが多い。
よく食べる方で太り気味。
仕事のストレスが多い方。
かなり激しいスポーツをしている。
家族に、痛風にかかった人がいる。
●尿酸塩が関節にたまって激痛が起こります
痛風は40歳以上の男性に多く見られる病気で血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症が続くと発病します。尿酸とは、体や頭を使ったときの新陳代謝によってできる老廃物ですが脂肪分の多い高カロリー食を一度に食べたり、お酒を飲み過ぎたり激しいスポーツをすると、エネルギーの消費が激しくなり、それだけ尿酸がつくられやすくなります。ふだん尿酸は血液中に溶けていますが、増え過ぎると解けきれなくなり尿酸塩の結晶となります。それが血液と一緒に体内を回っているうち、関節部分にたまり痛みの原因になるのです。
予防と対策 肥満や食べ過ぎは大敵
別名「帝王病」とも呼ばれる痛風はここ数年のグルメブームのなかで増えてきています。
予防策としては食事は腹八分に抑え高カロリー食を控えめにするのがポイントです。普段からなるべく脂肪分の少ない魚や植物性タンパク質、野菜類を十分摂るように心がけたい物です。
高脂血症・・・成人病予備軍となる
最近、体重が増えてきた。
脂肪のたっぷりついた肉が好き。
アルコールが好きで、よく飲む方である。
甘いお菓子や果物をよく食べる。
コーヒーを飲むとき砂糖は多め。
長年、たばこを吸っている。
中性脂肪が高いといわれたことがある。
コレステロール値が高いといわれたことがある。
●血液の中に脂肪分が増えています
高脂血症とは血液中に過剰なコレステロールや中性脂肪が含まれている状態のことです。成人病に近づいているサインであり、後一歩で動脈硬化になってしまう状態です。
高脂血症には特に自覚症状はありません。血液検査で発見されるもので、最近最近健康診断などで指摘されることが多くなってきました。
高脂血症に気づいたら、動脈硬化になる前に食生活の改善に努めるようにしましょう。
予防と対策 食生活を見なおすことがポイント
コレステロールは細胞膜の成分になるなど、体にとって欠かすことのできない大切な物でもあります。そして、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールと、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの2種類があります。
HDLコレステロールは、動脈硬化を予防するのに積極的な役割を果たし、一方のLDLコレステロールは、多すぎると動脈硬化を促しますが、少な過ぎても体の抵抗力を弱めることにつながります。したがって、体の調子を良くするには両方のバランスが崩れないようにする事が大切です。
高脂血症を注意されたら、間食やアルコールを控え、1階の食事量を減らすとともに、栄養バランスのよい食事をとるように心がけましょう。また運動をするとHDLコレステロールが増えることが知られています。歩行、ジョギング、水泳、自転車こぎなど息苦しくない程度の運動を週3回以上続けると効果的です。

がん
◇胃がん ◇大腸がん ◇肝臓がん ◇肺がん ◇皮膚がん ◇泌尿器のがん ◇乳がん ◇子宮がん
胃がん・・・40歳から増え始め、60歳代で急増する
最近、食欲がなく、疲れやすい。
このごろ食べ物の好みが変わってきた。
胃がもたれたり、胸焼けがする。
げっぷが出たり、吐き気がある。
胃の不調が長く続いている。
最近、急にやせてきた。
塩辛い物が好きである。
熱い食べ物が好きな方である。
刺激物を好んで食べる傾向がある。
胃の粘膜にがん細胞が発生します
胃の壁はまず粘膜層があり、その次に粘膜筋板、粘膜下層、筋層、奨膜と5つの層ができていますが、胃がんは、胃の粘膜にがん細胞が発生し、そこからだんだん深く浸潤していきます。がん細胞が粘膜か粘膜下層にとどまっているのを早期がんといい、筋層よりも深く浸潤しているものを進行がんといいます。
早期がんの段階で手術を受ければ90%以上の人は完全に治りますが、進行がんになると手術をしても再発の危険が出てくる他、肝臓や肺などにも転移しやすくなります。早期がんのうちに発見し、治療を受けるのが何よりです。
予防と対策 年1回の胃検診が欠かせない
胃がんを初期の段階で見つけることができるのは、胃検診しかありません。
定期検診では、まず造影剤(バリュウム)を飲んでX線撮影が行なわれます。その後必要に応じて内視鏡検査や、生検などの精密検査を受けることになります。X線撮影の後、要精検(精密検査が必要)の通知があったら、必ず指示に従うことが大切です。万が一胃がんが発見された場合でも、きわめて早期の段階なら、胃を切除しなくても、内視鏡治療だけだ治すことも可能です。なお胃がんの発生を予防するには、普段の食生活に注意するのも大切です。胃の粘膜を刺激するような塩分の強いものや、熱いもの、刺激物はなるべく避けるようにし、緑黄色野菜などがんの発生を抑える働きのあると考えられている食品は積極的にとりたいものです。
大腸がん・・・比較的発見されやすいがん
便に血や粘液が混じることがある。
最近、便が細くなってきた。
時々下腹部が痛む。
よく便秘になりやすい。
動物性の脂肪やタンパク質を好んで食べるほう。
食物繊維が不足しているかなと思う。
痔の傾向がある。
□家系に大腸の病気をしている人が複数いる。
●出血(血便)と便通異常を見逃さないように
大腸がんは近年増加傾向にあります。原因として考えられるのは食生活の変化。かつて日本人の食事は穀物や野菜、魚が中心でしたが、牛乳や豚肉など動物性脂肪やタンパク質をたくさんとるようになり、食物繊維の量が減少してきたことが大きく関係します。大腸は1.5mもある長い臓器で、小腸に近い方から、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸と続き、その下に直腸と肛門があります。がんができる頻度は肛門に近いほど多く、S字結腸と直腸を合わせて大腸がんの4分の3を占めるほどです。
初期は症状がほとんどありませんが、出血(血便)と便通異常が現れるのが特徴です。病名をはっきりさせるためにも、出血や便通異常があったら必ず病院で検査を受けるようにして下さい。
予防と対策 便秘をなくし、食物繊維の摂取を
便秘は長時間大腸にとどまるので解消しましょう。便秘人口が増えたのは食物繊維の摂取が少なくなったことが大きな理由です。繊維質は消化されないので便のかさを増やします。便の量は多ければ多いほど腸を通過する時間が早くなるのです。消化の良いものばかり食べていては便の量は減少し、濃縮されてしまい大腸にとどまる時間が長引きます。
大腸がんの検査には次の5つがあります。@便潜血反応(目に見えないわずかな出血もこの方法で発見)、A直腸指診(肛門から指を入れて調べる方法。外来でできる簡単な検査で直腸がんの6割以上はこの検査で分かる)、B直腸鏡検査(直腸鏡を肛門から入れS字結腸の下まで見る)C注腸造影(X線検査で肛門からバリュウムを入れ、大腸を直接見る検査。組織をとって調べることも可能。
肝臓がん・・・手術が可能になった
体重が減って、やせてきた。
上腹部が張ったり、痛くなることがある。
手足や、白目が黄色くなってきた。
みぞおちから右側にかけて腫れてきた。
最近、とても疲れやすい。
アルコールを長年多量に飲み続けてきた。
ウイルス性肝炎にかかったことがある。
肝硬変、または慢性肝炎の治療を受けている。
●肝臓障害からがんになる例が多く見られます
肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変を合併しているものがほとんどで、過去にB型肝炎やC型肝炎を患ったことのある人は要注意です。
肝臓がんは現在では、胃がん、肺がんに次いで3番目に多いがんです。肝臓は沈黙の臓器といわれるほど、組織が破壊されても症状はなかなか出ないもので、ある程度進行して初めて疲れやすい、黄疸が出るなどの症状が現れます。このため、ウイルス性の肝炎にかかったことのある人や肝硬変のある人などは、定期的に検査を受けて肝臓がんのチェックをする必要があります。
肝臓がんの検査は、まず血液検査を行ない、肝機能を調べると同時に肝臓がんになると増える特殊タンパク質を調べます。更に超音波やCTなど画像診断も行ないます。定期的にこれらの検査を受けていれば、早期に肝臓がんを発見する事も可能です。
予防と対策 肝炎や肝硬変を悪化させないよう注意を
肝臓がんがどうして起こるのかについてはまだ解明されていませんが、一般的にはB型、C型肝炎ウイルスの感染が、肝臓がんの発生に深く関係していると言われています。
肝硬変とは、慢性的な肝臓疾患により肝細胞が死亡と再生を繰り返すうちにやがて細胞間が繊維化して硬くなり、このような現象が肝臓全体に及んだものです。従来手術で肝臓がんが根治される例は、肝臓がんの10〜20%に過ぎませんでした。ところが手術法が進みある程度肝機能が残っていれば、切除が可能になってきたのです。肝硬変がなく肝機能が正常で体力があれば、肝臓の約8割まで切除することが可能です。肝硬変があり、肝機能が非常に低下している場合は手術が難しくなりますが、その場合はエタノール注入法や肝動脈塞栓法などの方法があります。
肺がん・・・喫煙と深いかかわりがある
長年、たばこを1日20本以上吸っている。
せきやたん、特に血痰が出ることがある。
体中が熱っぽいと感じることがある。
時々胸が痛むことがある。
緑黄色野菜があまり好きではない。
胸部X線検査を長年受けていない。
●自覚症状がない肺がんが増えています
肺がんは近年増加傾向にあり、50代から60代にかけて3体1の割合で男性に多いがんです。
早期の肺がんについては、中心部の太い気管支にできる「中心型早期肺がん」と、気管支が枝分かれした奥の細気管支や肺胞にできる「末梢型早期肺がん」です。
中心型早期がんは、せきや痰など呼吸器の症状や発熱などがあり、その約半数に血痰(痰と血が混じリあったもので、痰の中に細く糸を引くように血が混じる物)があります。
末梢型早期肺がんではかなり大きくなっても自覚症状が現れない人がほとんどで、健康診断などで発見されるのことが多いのが特徴です。
予防と対策 喀痰検査とX線検査を定期的に
中心型早期肺がんでは早い時期からたんの中にがん細胞が見とめられるという特徴がありますが、X線検査では解りにくいという欠点があります。このため病院によっては危険率の高い人に定期的に郵送で痰を送ってもらい検査をしているところもあります。喫煙習慣のある中年男性は喀痰検査は欠かせません。
末梢型早期肺がんの多くはX線写真に写りやすく全体の70%が胸部X線撮影で発見されます。
肺がん予防は何といっても禁煙がポイント。1本のたばこには肺がん物質が多数含まれています。大気汚染が肺がんと関係するのではないかといわれておりますが、たばこはそれが濃縮されて体内に入るわけですから、被害は大気汚染の比ではありません。
皮膚がん・・・中年になってホクロやイボができたら要注意
目や口のまわりにホクロができ、大きくなってきた。
最近、顔や手の甲にイボができた。
手の甲に黒っぽいアザができ、広がってきた。
爪の下に黒っぽい斑点ができた。
ウオの目やタコが急に黒っぽくなってきた。
ホクロの色や形が変わってきた。
長年、日光紫外線に当たる生活をしている。
●放っておくと、命取りになることもあります
皮膚がんは、他に転移する危険のない基底細胞がん、転移して命の危険にも及ぶ有棘細胞がん、ホクロが悪性化するメラノーマの3つのタイプに分けられます。
基底細胞がんは長年日光紫外線に当たった顔にできることが多く、最初はホクロに似ています。大きさが1cm以上になると真ん中がつぶれてきますが、数年かかるといわれています。
問題の有棘細胞がんは、やけどの外傷の後から癌に変化することもあり日本人に最も多く見られます。特徴は赤っぽい色で表面がジクジクしたりブツブツ盛り上がったり、また真ん中がつぶれてくることもあります。ちょっと触っただけで出血する事もありますが、痛みやかゆみはありません。
ホクロのがんといわれるメラノーマは、ホクロの黒アザががんになるもので、進行が速く初期の段階から転移することが多い癌です。しかし、日本人には少なく早期に発見すれば治る見込みがあります。
予防と対策 皮膚に変化がないか、ときどきチェックする
最近は日本人の中にも増えている癌で原因は明らかになっていませんが、ホクロヤイボ、ウオの目、タコ、シミ、アザ、やけど、外傷の傷後などが皮膚がんに変わる場合があります。中年になってからホクロやあざができたとき、メラノーマと気づかずに美容整形で切除し、それが刺激となって悪化してしまった例もあります。色が黒く短期間で変化するホクロや、平に盛り上がったアザなどは癌に変わりやすいので特に注意しましょう。
皮膚がんの治療は、病変部分とその周囲を切り取る手術療法が第一で、早期発見であればそれだけで十分治ります。
泌尿器のがん・・・中年になってから多くなる
何の前触れもなく、血尿が出ることがある。
このごろトイレが近くなった。
尿意は起こるが、尿が出にくい。
尿の出に勢いがなく、出終わるのに時間がかかる
尿が出終わっても、残っている感じがする。
排尿時に焼けるような痛みを感じることがある。
ときどき腰や背中が痛むことがある。
尿の通り道に、がんができています
泌尿器の癌は主に腎臓、膀胱、前立腺にできやすく、いずれも中年以降になってから増えてきます。腎臓がんの症状で多いのは血尿です。放っておいても自然に消えてしまいますが、進行すると腎臓のあたりの痛みや腫れ、微熱、食欲不振などが起こってきます。
膀胱がんは泌尿器がんのなかでは最も多く治っても再発しやすく、男性に多く症状は、痛みを伴わない血尿が出たり、頻尿や排尿痛など膀胱炎に似た症状が現れます。血尿は、4〜5日で止まりますが、放っておくと進行してきます。
前立腺がんは進行すると頻尿や尿に勢いがなくなったり、尿が出にくくなったり、血尿が出る場合もあります。進行した前立腺がんは骨に転移することが多く、骨盤や背骨に転移した場合、ひどい腰痛を訴えます。
予防と対策 血尿を見たらすぐ検査を受ける
腎臓がんでは、超音波検査や血管に造影剤を入れて撮影する方法などで診断されます。
膀胱がんは膀胱鏡による検査で簡単に診断できます。ただし腫瘍の進行状況の診断は、ある程度設備の整った大学病院での検査が望まれます。
前立腺がんは、肛門から指を入れて調べる触診や超音波検査、また穿刺細胞診といって針を刺して細胞をとる方法がとられることがあります。特殊な腫瘍マーカーがあり、血液検査で調べることができます。
乳がん・・・未婚、晩婚女性に多い
乳房にコリコリしたしこりがある。
乳房の皮膚にくぼみや、ひれつがある。
乳首の向きが変わってきたようだ。
乳首がへこんできた。
乳首に湿疹のようなただれができている。
脂肪の多い肉やバターをよく食べる。
未婚で出産経験がない。
晩婚で出産回数が少ない。
乳首に、目に見える異常が現れます
食生活の欧米化に伴って、急に増えているのが乳がんです。
動物性脂肪の摂り過ぎによる肥満、またホルモンの影響が深く関わっていて、30歳以上で未婚の人、晩婚の人、出産経験のない人や出産回数の少ない人にできやすいといわれています。
はじめは、硬くて弾力のある無痛のしこりができたり、乳首に湿疹のようなただれが出きることもあります。そのうち乳房の皮膚が引きつれたり、へこみが目立つ、また皮膚がしこりでふくらみ外からでも見えるようになりますが、そのまま放っておくと骨髄や肺に転移してしまいます。
予防と対策 30歳を過ぎたら月に1度、自己検診を
乳がんは他のがんと違って、早いうちから自分自身で発見することができます。がんになる可能性のある30歳になったら定期検診を受けると共に自分でも検診する習慣をつけたいものです。
自己検診は月に1回、整理が終わって1週間後くらいに行ないます。生理前後は乳腺が張ることが多いのでしこりと間違えやすいからです。@鏡の前に胸を張って立ち、左右の乳首の向きが変わっていないか、へこんでいないか、ただれなどの変化はないか等を観察します。
A両手をあげて@と同じことを観察し、正面だけではなく側面からも観察します。
Bあおむけに寝て、右の乳房は左手で左の乳房は右手で片方ずつ調べます。人差し指と中指、薬指を揃えて、乳房の中心から外側にかけて、ゆっくり軽く押さえるようにしながらまんべんなく触っていきます。腕を脇につけた状態と、腕を上げた状態の両方を調べるようにします。素人判断で放っておいたり受診が遅くなれば、手遅れになることもあります。
子宮がん・・・女性なら誰でもかかる可能性がある
ピンク色か褐色のおりものが出ることがある。
不正出血がだらだら続くことがある。
セックスの後で出血することがある。
スポーツをした後で出血することがある。
排便、排尿後に出血することがある。
生理にに関係なく腰痛や下腹部の痛みが続いている。
子宮頸がんは40歳代、子宮体がんは50歳代がピーク
子宮がんは、膣に近い部分に出来る「子宮頸がん」とその奥の子宮内部に出来る「子宮体がん」の2つに分けられます。
日本人の場合は、子宮頸がんが多く、子宮がん全体の約70%を占めています。しかし、食生活の欧米化に伴ってか、子宮頸がんが減ってきているのに対し、子宮体がんは増加傾向にあります。
子宮頸がん
子宮頸部にがん細胞ができ、しだいに膣壁や骨盤壁など子宮の周囲に広がってきます。さらに進行すると、肝臓や肺、胃、首などにも転移してきます。
おりものにわずかなピンク色や褐色を見たり、セックスの後や排便・排尿後、またはスポーツの後に出血がある程度です。おりものにはっきり血が混じっていることがわかった時には初期の段階を過ぎています。
病気が進んだ状態では、悪臭のあるおりものや下腹部痛、下痢や血便のなどの症状が出てきますが、こうなるとかなり進行した状態といえるでしょう。子宮頸がんの原因についてはパピローマ・ウイルスが強く関与していることがわかってきています。統計上では、若い頃から出産を経験し、出産回数の多い人に多く見られます。年齢では、40歳代が最も多く次いで30歳代、50歳代と続きます。
子宮体がん
子宮体がんは閉経後の女性に多いのが特徴です。ピークは50歳代となっています。
原因は明かになっていませんが、出産経験のない人や食生活の欧米化に伴う肥満や高血圧、糖尿病などの影響も指摘されています。子宮体がんは子宮内膜にがん細胞が発生し、子宮頸部に広がった後、直腸や膀胱、またそれ以外に転移することもあります。子宮頸がんに比べて、ゆっくり進行していく特徴があります。
症状は、理由もないのにだらだら不正出血が続きます。閉経直後の女性に多いため、また月経が始まったのかと勘違いすることが少なくありません。
予防と対策 毎年1回は子宮がんの検診を受ける
子宮頸がん、子宮体がんとも、自覚症状があってからでは遅い場合があります。早期発見と早期治療が大切です。30歳を過ぎたら必ず年1回の子宮がん検診を受けるようにしましょう。検診は無痛ですし、わずか5分ほどで終わります。

ちょっと気をつけたい その他の病気
◇骨粗鬆症 ◇尿路結石 ◇前立腺肥大 ◇網膜剥離 ◇エイズ
骨粗鬆症・・・更年期以降の女性葉要注意
腰や背中に時々軽い痛みがある。
ちょっと転んだだけで骨折したことがある。
最近、腰や背中が曲がってきた。
牛乳や小魚をあまり食べない方である。
運動不足かなと思う。
更年期を過ぎており、骨密度の測定をしたことがない。
骨の強化を促す女性ホルモンの減少が原因
骨粗鬆症は骨の老化に伴って起こる病気です。骨を構成するカルシウムやリンが少なくなり、骨の密度が低くなって、軽石のように骨がスカスカになり、折れやすくなります。
この病気は、男性に比べて女性が圧倒的に多いのが特徴です。女性ホルモンには骨を強化したり、骨の形成を促す働きがありますが、更年期になり、閉経を迎えると、女性ホルモンは急激に減少し、カルシウムの吸収が悪くなって骨がもろくなるのです。女性は男性よりも体が小さく、カルシウムの蓄積が少ない点も影響しています。
予防と対策 食事と運動、日光浴で予防できる
カルシウムの蓄積が少ない人は、40歳頃から骨粗鬆症にかかることもあります。骨粗鬆症になりかけだといわれたらすぐに治療を行ないます。薬としてはカルシウム製剤やビタミンDを服用し、更年期過ぎの人はホルモン補充療法を行ないます。しかし、骨粗鬆症が進んだ場合は元の骨密度に戻すことは不可能ですからあくまでも予防が大切です。
日常生活では、カルシウムを十分に摂ること、運動をすること、日光浴をすること、この3つに重点をおきます。またカルシウムの吸収にはビタミンDも必要です。食品で摂ったビタミンDは、日光を浴びることで活性化されます。1日30分以上は戸外に出るようにしましょう。
尿路結石・・・再発が多い
尿に血が混じることがある。
尿が出にくくなった。
下腹部や背中が痛むことがある。
動物性タンパク質を好み、よく食べる。
乳製品が好きで摂取量が多い。
水分の摂取量が少ないかもしれない。
運動不足かなと思っている。
●尿路に石状のかたまりができる病気です
突然、わき腹から下腹部にかけて七転八倒するほどの痛みに襲われる尿路結石。18歳〜50歳くらいの働き盛りの男性に多くみられ、治っても再発率は40%というやっかいな病気です。
尿路結石は石ができる場所によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の4つに分かれます。このうち、わが国で多いのは腎臓と尿管の結石で、全体の95%を占めています。
まず、尿検査で血尿が出ているかを調べます。尿路結石の場合はすべて尿中に赤血球が検出されます。またX線撮影や超音波検査、内視鏡なども行ないます。石が小さくて、臓器の障害がなく、痛みや殺菌感染もない場合は大量の水をとり運動をして自然に石が出てくるのを待ちます。これで出てこない場合には体外衝撃波結石破砕術という治療が行なわれます。衝撃波で破砕されない石は内視鏡を使って取り出します。
予防と対策 水分をとり、肉類を控え、運動を
尿路結石の成分は特殊な場合を除き、しゅう酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸など、誰もが尿中に排泄している成分が結晶化したものです。結石の出来る原因は、よくわかっていませんが生活習慣が大きく関係しているといわれます。結石ができやすい要因がなくならない限り、治療をしても再発を繰り返すことになるので十分な注意が必要です。
尿路結石ができやすい3大要因は、水分の不足と、動物性タンパク質の過剰摂取、運動不足です。この病気は肉食の欧米人に非常に多く肉食を過食すると尿路結石ができやすいといわれています。わが国でも肉食が増えたために尿路結石の患者さんが増えています。また、乳製品やほうれん草の摂り過ぎは、しゅう酸カルシウムが結石の原因になります。摂り過ぎないようバランスを心がけるのが大切です。一度尿路結石を経験した人はこれらに注意して、再発を防ぐのが大切です。放っておくと、尿の流れが悪くなったり、腎臓の働きが低下したりして尿毒症から腎不全を起こし、人工透析が必要になることもあります。
前立腺肥大・・・50歳以上の男性に多い
最近トイレが近くなった。
夜中に2度も3度もトイレに行く。
尿が出始めるまでに時間がかかり、尿量も少ない。
排尿しても、まだ尿が残っている感じがする。
長時間座る仕事をしている。
排尿を我慢するくせがある。
水分の摂取量が少ないかもしれない。
●進行すると腎臓障害を起こします
多くの男性は50歳以上になると、排尿障害に悩むようになります。その原因のトップは、前立腺肥大症です。
前立腺とは男性特有の器官で、膀胱を囲むように位置し、その中心に尿道が通っています。男性は50歳を過ぎると、この前立腺が徐々に肥大してきます。そのため尿道が圧迫されて排尿障害が起こってくるのです。症状が進んで、残尿が膀胱に溜まるようになると細菌に感染しやすく、膀胱炎など尿路感染症を引き起こしやすくなります。腎臓の機能も低下し、腎臓障害を併発することもあります。
診察では尿の出方を担当医に伝えます。また、直腸診といって肛門から指を入れて前立腺が腫れているかどうかを触診し、同時に前立腺がんの有無も診断されます。
予防と対策 排尿を我慢せず、ウォーキングなど軽い運動を
前立腺肥大症と診断されたら治療法はいくつかあります。まず薬物療法ですが、前立腺を縮小させる薬や、前立腺のむくみ・充血を改善する薬、前立腺の緊張を緩和させる薬などがあります。
外科治療では、内視鏡による手術が主流になっています。しかし、前立腺の肥大の程度が大きい場合は、内視鏡手術は無理なので摘出手術を行ないます。体力のないお年寄りや循環器系の合併を持っている人には、尿の出を良くするいくつかの方法があります。尿道に管を入れて尿路を確保する方法や、肥大した前立腺の緊張をとるための温熱療法もあります。最近、注目されているのはレーザー治療です。レーザー光線によって肥大した前立腺を焼き切る療法で排尿困難が改善され出血もわずかですみます。
網膜剥離・・・40代半ばから多くなる
目の前に虫が飛んでいるように感じることがある。
目の前にフワフワしたものが浮かんで見えることがある。
視野が狭くなったような気がする。
最近、視力が低下してきた。
目がかすむことがよくある。
目が疲れやすくなってきた。
目の前の物が歪んで見えることがある。
目の痛みに頭痛や吐き気を伴う。
●網膜に裂け目ができ、放っておくと失明します
網膜剥離を一口でいうと、網膜の一部に裂け目や穴ができ、そこから網膜の内側にある硝子体の液が流れ込んで網膜が持ち上がり、はがれてしまう病気です。
健康な状態では、眼球に入ってきた光が網膜で受け止められて物を見ていますが、網膜がはがれてしまうとその範囲では光を感じなくなってしまうため、見える範囲が狭くなり、放っておくと失明してしまうのです。
症状としては、まず目の前に虫が飛んでいるように見える飛蚊症が起こります。網膜に裂け目や穴ができた段階で網膜がわずかに出血し、硝子体に血液が散るため蚊が飛んでいるように見えるのです。また、はがれた網膜が硝子体にゆらゆらと浮かんでしまい、目の前にフワフワしたものが浮かんで見えることがあります。人によっては黒い点や糸くず、雲のようなものが見えることもあります。さらに進むと視力は急激に低下し目の前にカーテンがかかったように薄暗くなったり、物が歪んで見えるようになった後、何も見えなくなってしまいます。
予防と対策 飛蚊症に気づいたら眼科を受診すること
網膜剥離は誰にでも起こる可能性のある病気です。
手術によって直すことはできますが、できるだけ初期の段階で治療すれば回復もそれだけ良くなります。しかし、数ヶ月以上も放置しておくと重症になりやすく、手術をしても視力が完全に回復しない場合もあります。網膜がいったんはがれると、硝子体の中でゆらゆらゆれています。その状態で眼球を動かしたり運動をすると、その度にどんどん網膜がはがれてしまいます。目の前に虫が飛んでいるような、ふだんと違う見え方がするときは、早めに眼科医を受診することが大切です。石から網膜剥離の疑いがある、または網膜剥離と診断されたときは、手術までの間自宅で安静にし、激しい運動や長時間の振動は避けることが大切です。
エイズ・・・世界的に蔓延しつつある
未知の人と性関係をもったことがある。
性交時にコンドームを使うことはまれである。
男性同性愛の経験がある。
原因不明の発熱が続いていて、寝汗が多い。
なんだか、とてもだるくてしょうがない。
下痢をする事が多く、体重が減ってきた。
血液検査などを受けていない。
●体の免疫機能が失われてしまう病気です
エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルス感染によって引き起こされます。HIVが私達の体に入ると、リンパ球という免疫の細胞にとりついてリンパ球を破壊し、次々と体の免疫機能を破壊していきます。このため体は無防備の状態になり、一般の人ならかからないような病気に侵されてしまうのです。HIVに感染したらすぐに発病するわけではありません。HIVは体のあらゆる部分に広がっていきますが、しばらくは活動しません。リンパ球の破壊はこの間も続いていますが、日常生活にはまったく支障はなく、潜伏期間に入ります。
しかし何らかの条件でHIVが活性化するとまたたく間にウイルスが増殖しリンパ球の破壊が進んで、免疫がまったく機能しなくなり発病してしまいます。発病初期の主な症状は、発熱、寝汗、だるさ、頭痛、下痢、体重減少などです。
発病するまでの潜伏期間は人によって異なりますが、だいたい6ヶ月から20年、平均して10年といわれています。血液検査をしても、感染後2〜3ヶ月以上たたないと反応が出ません。感染の機会があったと思われる人は、3ヶ月以後に血液検査を受けてください。
予防と対策 心配な人はエイズ検査を
HIVは精液や膣分泌液、血液に含まれます。
このため、感染経路は「性行為」「血液」「母子感染」に限られます。このうち最も日常で感染しやすいのは性行為です。
性行為による感染を防ぐ手立ては、未知の人や不特定多数との無防備な性接触はやめることです。性行為は信頼できる特定の人に限ることと、性交の前に必ずコンドームをきちんと装着することで自分の身を守るようにしましょう。
なお、少しでも感染の不安がある人はエイズ検査を受けてください。エイズ検査は、各都道府県の保健所で受けることができます。検査自体は、腕から血液を5mlとるだけの検査で費用は原則として無料です。後日、指定された日に検査を受けた保健所へ行き直接、口頭で結果を聞きます。検査は匿名で受けられるのでプライバシーは守られます。
また病院で検査を行なっているところもありますが、病院での検査には費用がかかります。なお、エイズは健康保険で治療が受けられます。万が一感染していることがわかったら、発病を延ばす治療を行ないます。残念ながら現在のところエイズの根本的な治療薬はありませんが、HIVの増加を抑えたり、延命効果のある薬はいくつも発見されております。
【出典:健康管理の基礎ガイド 成人病予防と対策  監修:前田 淳】
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